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最底辺の10億人

僕がこの世界に飛び込もうと思ったそもそものきっかけは、幼少期を国外で過ごした経験から、高校生までの間に培われた「先進国に生きることのぬぐい難い後ろめたさ」でした。
90年代に差し掛かっていた当時、日本はまだ高度経済成長の名残の中にあり、先進国と途上国の格差による南北問題、そして全世界的な環境問題が、「この社会にただ生きているだけで、汚れを生み出し続けている」という罪の意識を植えつけていました。

大学生のころ、途上国支援を漠然と志していた僕は、タイからインドにかけて、また南米や、当時共産主義が崩壊したばかりの東ヨーロッパを歩いてみることにしました。そこで身に沁みたのは、「通貨」の価値。当時、タイなら一泊三食1,000円、インドなら100円で旅ができました。東ヨーロッパ(インフレで貨幣価値が混乱していた)では、1,000円が分厚い札束に変わった。インドの片田舎の食堂で働く少年が1年かけて手に入れるだろう金を、僕らは日本で数時間バイトすれば稼げた。

それから僕は、世界に近づくことをやめ、地に足をつけて生きる道を模索するようになりました。

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最近、「最底辺の10億人」という本を読みました。(http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P46740.html
10億もの人々が、グローバル経済の岸辺で、後にも前にもいけない状況に取り残されている。
知ってはいるはずなのにピンとこない現実を、久々にリアルに見せつけられました。
遠く離れた僕らが、気分だけで罪の意識や憐れみにとらわれても、何も変わらない。
それでも現実にその場で日々生きてる人がいて、そこから一歩先に進もうとしている。
そのことを久々に思い出しました。

理想郷などない。
だって、「ここは理想的な社会だよ」と与えられる世界なんて、窮屈でしょう?
生き物は変わり続け、社会も動き続ける。
ならば、いまよりもちょっとマシなものへ。
そう念じ続け、大勢のひとがホントに願ったあるタイミングで、コロっと物事は動くんじゃないか。
原発も、TPPで潰れると大合唱されている日本農業も、きっとそう。

そう信じ、いまはここでの農業の世界をより豊かなものにしていきたい。
そしたらまた、次の一歩に進める気がします。
自分のやってる農業や暮らしは、自然でもないし、循環もできてないけど。
それを実現するには、ちょっとずつでなく、大きな一歩を思い切って踏み出す必要があるのは分かっているけど。
ひとり突っ走っても仕方ないから、たくさんの人と共鳴しながら、というのが今やりたいことです。

日常を送りながら、いつでも必要なときに一歩を踏み出す準備を怠らないこと。
いまの自分は、そんな段階です。

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ぐぅ
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大震災の残すもの

東日本を襲った震災は、全貌もわからぬまま、想像を超えた映像を送り続けてくる。
田畑がいとも簡単に波に覆われる光景には、本当に胸がつぶれる。遠目にも、長年丁寧に管理してあったろうことがわかる畑だ。
そして時間が経つにつれ映像は増え。海が膨れ上がり街が丸ごとさらわれる姿も目の当たりにした。
そこには、テレビには映らぬ人の姿もあったろう。そこにいたであろう動物たちはどうなったか。
ひとつひとつに物語があると知りながら、万単位に及ぶとされる犠牲の全貌に目が奪われる。
自分のなかで虫の目と鳥の目をいったりきたり、頭がクラクラしてくる。

何かまとまった言葉を残すことはとても難しい。
ただ「人の世は儚い」というような浮世離れした言葉に今意味はきっとない。
瓦礫から這い出した爺さんが、真っ先に「さあ、再建だ」と呟いた言葉にこそチカラがある。
被災地ではすでにこっそり、草花が春を感じて新たな芽を吹き始めているに違いない。
昨日と同じ明日が来るという信頼で社会は作られているけれども、実はやっぱりそうではないのだという覚悟が、生死が交錯する自然の中では生きていくのに必要なんだろう。
虚無に食われることなく、現実に目を凝らし、バランスを取りながら、今日もやっぱり畑に出て行こうと思います。
必要があれば、いつでも現地に飛んでいける準備をしながら。

さか


ぐぅ

また一年、ときが巡った

新たな年を迎えましたね。

農業は、四季折々の作業がずっとつながって続いていきます。
目の前のことに追われて時が流れるのは、他の仕事と同じです。
1年が経ったことを実感し、また新たな目標に向かっていくためにも、正月は大事にしたいです。

とはいえ、34歳になり、ボンヤリと思い描いているゴールに対して、自分が歩んできた距離のあまりの短さに愕然と恐怖を覚えます。それでも20歳のころから1年として同じ年を過ごしたことはなかったと信じ、今年もまた新たな一歩を踏み出したいと思います。

伊賀は、とても暖かい12月を過ごしたあと、大雪で新年の幕を開けました。

雪

昨年は縮れたホウレン草とキャベツしかなかった畑に、今年は青々としたタアサイ、チンゲンサイが揃い、キャベツにホウレン草も頑張っています。
一年の違いを実感します。
もちろん去年の失敗を克服すれば今年はバラ色、とは行かないのが生き物の世界。
夏の間に草だらけにしてしまった畑には、昨年にはなかった虫の気配がうごめき、有機農業2年目の怖さの予感もあります。
理想の農業にはほど遠いけれど、理想と現実のバランスを取りながら、多くの人を取り込める農業をしていきたいです。
どんなに持続可能な農業をストイックに追求しても、僕らの暮らしが持続可能でなければ、その農業は消えてしまうのだから・・・。

キャベツ

ぐぅ

ひとの環をつくりたい

皮肉なことに、食料を自給自足し、経営も自分でやり、可能な限り全部自分でやってやろう、という有機農業の世界に入れば入るほど、人のチカラなしには生きていけない、ということを肌で感じます。

「ひとは、生まれ、響きあい、死んでいく」
ある書でそんなフレーズを見たとき、ああこれだな、と思いました。
生きる意味で悩んだりする人も多いけれど、生き物は目的をもって生まれてきたなんて思えないし、だからといって無意味に生きてるわけでもないと信じたい。
響きあうために。
人間関係は煩わしい、とよく言う。
でも、人の助けを求めているのは自分だし、自分が人のためにできることもある。
そう、前向きに、捉えたい。

僕がこのブログで伝えたいことも(伝わっているかは甚だ?だが)、ひとの背中をちょっと押したい、という気持ちから生まれています。

有機農業を志すひとに、ちょっとした勇気を持ってもらえるように。
そして、ただ働くだけじゃつまらない、ひとの役に立てるような、困った世界を少しでも解きほぐせるような、すこしでも自分の力を活かしたい、そう願うひとに、参加する場を提供できるように。
最近のことばでいう、社会事業家、でありたい。

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就農2年目を迎えるにあたり、まだまだ足元はおぼつかないですが、お手伝いしてくれる人を受け入れたいなと思っています。
生活をかけている方の収入を補うことは難しいですが、ちょっと農業に触れてみたいという方の入り口として。そして、おなじような興味がある方々の交流の場として。
もちろん、就農を志す方の支援・研修の充実も、本格稼働させていこうと思います。これは僕個人ではまだ重いので、伊賀有機農産という集団として。

自分のチカラを知り、ひとのチカラに頼む。
有機農業の世界を、おおきな「ひとの環」に。

ぐぅ

世界は変えられる!?のか

就農方法や有機農業の実際の話に入る前振りにしては、長々と抽象的な話になりますが。

「世界を変えたのは、世界は変えられると信じた人たち。」
そんな言葉を見たのは、大学生のころだったろうか。

でも実際の社会は、複雑に組み上がっていて、堅牢で、窮屈で。
矛盾だらけの世の中に憤りを感じつつ、とても自分の力なんかの及ぶ世界ではないように感じていた。
社会をぶっ潰す、そんな意気にあふれていた60年代や、維新の時代は、羨むべき別世界だと。

あれから年をとり、社会経験もした。
日々の暮らしを成り立たせながら、社会がそれなりの必然性をもって出来上がってきたことを知った。
それは最初からつぎはぎだらけで、矛盾がつきものであることも知った。
「世の中を引っくり返した」あとに、行きつくべき先を、自分が知らないことも知った。
何十億という人間が住むこの世界を、たった一人が簡単に変えられるようにできていては、それこそたまらない、ということも。

でも一番思ったのは、ちょっとしたきっかけで、意外に簡単に世の中はひっくりかえるんだ、ということだ。
世界の国を見渡すと、10年前には想像もできなかった今を迎えている国は、けっこう多い。
日本だって、10年前に学生だった僕らと、今の学生とでは、見えている世界がだいぶ違う。
世の中、意外に簡単に変わる。

では、「有機農業的世界観」が、世の主流になることだって、ありえる。
もちろん、僕一人の力でできることではない。
きっと、一人また一人と、同じような考えを共有し、いつしか広く深く人々の間に浸透していって、「あ、そういうのもありかも」と、多くの人が思ったときに。
誰かが、うまい具合に「スイッチ」を押せたなら。

意外に簡単に、世の中は変わるんだと思う。
強引に変えるのではなく、ある種の必然性をもって。

いつの日か、そうなったときに慌てないように。
願わくば、自分が最前線に立っていられるように。
非常に抽象的だけれども、そんな気持ちで、農家を目指します。

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ぐぅ
プロフィール

ぐぅ&トミー

Author:ぐぅ&トミー
38歳♂・31歳♀・7歳犬。
有機農家になりたくて、伊賀に流れ着きました。
生かされている生活から、活きる暮らしを目指して。
多くの人を巻き込みながら。地道に。夢は大きく。
日々の作業や、想いをつづります。

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